浅田真央へ思う

二日続けて、この地球は浅田真央のために回っていたのだろうか。


一昨夜は「神も仏もいね~のか!」と愕然としたけど
実際、そこには神も仏もいなかった。
あのリンクからは神も逃げ出すよ。

「人間たち、やりたいようにやってごらん」という世界。
まだ若い女子たちが、あんなにも過酷な熾烈な闘いに身を投じて。

浅田のSPからFSへの"変身劇"は、神でさえシナリオを書けない。
あんな凄い劇を見たことがない。


「ボロボロになる・・・その分だけ輝けるんだぞ」
このセリフの実例を、初めて目にした。
本当に、奇跡の夜だった。


そして、すべての結果が出てから思うこと。

あのメダル争いには、浅田の場所はなかったのではないか?と。
金・ロシア、銀・韓国、銅・イタリア、ここに日本人選手が混じれたか?
浅田が完璧なSPとFSをやったとして、メダルを手にできたか?

その時に、日本人たる僕らは納得できたのだろうか。

今回の採点・加点では、納得どころか理解不能にさえなりかねない。

案の定、ロシアの金に対する抗議は試合直後から始まっているようだ。
バンクーバーの後味の悪さから何も変わっていない。
誰が(どこの国が)勝っても負けても同じことが繰り返される。

浅田がメダルに絡んだ場合の喧噪というか混沌というか、彼女らの努力や献身とは無関係な騒動を思うと、本当に浅田や関係者には申し訳ないが、今回の結果こそ、「フィギュアの神」の計らいではないかと(まあちょっと無理くりではあるが)思ってしまうのだ。


浅田は金メダルをめざしていただろうが、それ以上に「自分にとっての完璧な演技」こそが目標だったと思う。
そのふたつの目的が、片方が果たされても片方が果たされないとしたら。

どっちを取る?

一昨日の「取り返しのつかないこと」があったからこその完璧なFS。
あのどん底から這い上がる以外、完璧はあり得なかったとしたら。


残酷なまでのSPは、一夜明けてこの世界に最高を見せつけるための、天の演出。
フィギュアの神(がいるとして)からの、人間のメダル争いへの答。

浅田真央は、メダル争いとは別次元に飛び、最高の演技を全世界に残した。
浅田とは別の次元で、別の女子たちはメダル争いに最善を尽くした。


僕は、浅田のために、自分自身のために、そのことを喜びたい。
負け惜しみではなく、「ああ、これでよかった」と思う。


彼女自身は、本当にメダルを獲りたかっただろうけど。
あの気迫に満ちた、壮絶なまでに美しい演技は、メダルを意識せずに演じるという次元でなければ、生まれ得ないのかもしれない。


上位の選手たちが、メダルの重圧と観客の怒号とも言うべき地鳴りを浴びつつ演じる姿を見ながら、(ほんとに申し訳ないけど)あの中に浅田を置かなくてよかったと思えてならなかった。

結果が出て、点数を見ればなおさらだ。

この結果が生むであろう騒ぎに、浅田が巻き込まれなくてよかった。
これは完全に僕の自分勝手な考えであるけれど。


「素人にわかり難い採点競技」であるフィギュアが、観客の心へ直接働きかける「芸術」でもあるがゆえに、採点への疑問や不満が必ず付いて回る。

素人がTVを通して感じるものは、採点とは無関係。

そう知ってはいても、自分の目が見たものを、自分の印象を、僕らは捨てられない。


もう、採点は勝手にやってくれ、僕はいい演技が見たいだけだ。という気分。
この競技の採点を意識したくない。


まるで、「ジャニーズの中で一番素晴らしい人は誰?」を決めるような難問になっている。
ジャニーズの金メダリストは誰?・・・あははは。
この問いに、真面目に答えていたら血を見る騒ぎになるのは必然(笑)
そんな難しさを、五輪の競技に感じるとは。

芸能人が持つべき資質や才能を数値化して採点したとして
ジャニーズで1位になるのは誰だろう?(笑)

いや、そうじゃないな。
一人ずつステージに出て、その場でパフォーマンスを披露する。
そして上位3人をメダリストに。

こんな難しい判定があるかよ?

そこで1位認定された人がいたとして、自分が好きだと思うのは別人だろう誰でも。


採点は、人と差をつけるためのもの。
浅田が、その次元を超えて、観客が涙するほどのものを見せつけてくれたこと、それこそ、実は僕らがフィギュアという競技に望み夢見る究極の姿なのではないだろうか。


それぞれの選手は、みな素晴らしかったと思う。
男子以上にハイレベルな争いの中、決まった順位の持つ意味には、僕らが想像する以上の厳しき原理があるのだろう。
今までも、これからも、勝負は残酷であり、そこには神も仏もいない。


だけれども、神は時にご褒美をくれる。

浅田の昨夜の姿を通して、そして浅田の影に隠れているかもしれないけれど、鈴木明子の演技を通して、僕はフィギュアの神に愛されている人の在り方を知った。


恐ろしく猛々しい"勝負の神"との格闘には敗れたかもしれないが、一心に自分のフィギュアを追い求め、挑戦し続けた彼女たちに、芸術の神は寄り添い、微笑んでいた。


妄想に過ぎないけれど、僕には今回の女子フィギュア、「我々にはもう手に負えないね、人間の好きにさせよう」と呟いた勝負の神と芸術の神とが見守る中、それぞれの選手が「自分の一番欲しいもの」のために全身全霊を捧げ、それを手にした大会だった気がする。

浅田は、欲しかったものを手にした。
見ていた僕らも、欲しかったものを得た。

それでいいじゃないか、という思い。


人の目から光が消えるのを僕は見た。
画面の中であっても、胸が潰れるほどの衝撃だった。

一夜明け、その目に強い光が戻る。
リンクに現れた浅田は、別人だった。
顔つきを見ただけで、イケる!と確信した。

大きなものを犠牲にして、浅田は人間の奇跡を見せてくれた。


光一が言う、人の命の輝き。それをこんなにも実感できるとは。

あのどん底からでも這い上がれるほどの練習を積んで来た。
浅田しかできないジャンプを、彼女しかやらない挑戦を。
どれだけの努力を積んで来たのか、誰の目にもわかった。

絶対の実力があればこその、あの演技だった。

鬼も泣いただろう、昨夜の浅田には。


負けなければ、人間には明日がある。

負けない自分を、地道にひたむきに作り上げるしかない。



今回の女子フィギュアで、心に残った選手たち。


勢いと強靭さを感じさせた、ソトニコワ。
ちょっと見たことがないようなポジション、そのオリジナルを追求する志にも感動。


特別の柔軟性と、その人間性が興味を引いたリプニツカヤ。
深いものを感じさせる。必ずこれから大きく咲くだろうと期待させてくれた。


人柄のよさを感じるコストナー。優しいイタリアのお姉ちゃんという感じ。
メダルが取れてよかった!アヴェ・マリアの美しさは忘れない。


美貌で楽しませてくれたゴールド。仲間内でもイチ推し(笑)
ちょっと演技が硬いが、いつも笑顔でアメリカ選手にはプロ根性を感じる。


村上佳菜子、懸命に頑張っていた。
無邪気で可愛らしい性格に見えるが、衣装が大人過ぎないかなぁ?
これから日本女子を牽引していってほしい。


最年長とは思えない、小さな清らかな花のようだった鈴木明子。
惹きつけられる演技では彼女が一番。
なかなか鈴木のような選手は出ないと思う、ほんとにお疲れ様!


僕にとってのソチの女王、浅田真央。
誰にも演出できない奇跡のドラマを見せてくれた。
メダル争いの場所で、メダルより輝くものがあることを全世界に示した。
人間の強さ、美しさ。
永遠に語り継がれるスケーターになった浅田に感謝!


ただのTV観戦者に過ぎない自分が、ここまで書きたくなる試合をありがとう(笑)



全力を尽くす人は美しい。素晴らしい。

燃える命の輝きが真っ直ぐに届いた、昨夜の演技を忘れることはない。
その輝きを表現すること、それがフィギュアという「競技」の本質だ。


メダルを得た選手は凄い。
血を吐くような努力がなければ、誰もメダルは手にできない。

でも、メダルのない選手の中にも、記憶に残る選手がいる。
誰の心にも、メダルとは関係なく「ベストスケーター」がいる。

自分の心の表彰台に立っている選手以外、結局のところ忘れてしまうのだ。


そんな観客の思いとは別の次元で、選手は壮烈な闘いを続けていることは十分承知しているけれどね。


・・・そんなことを思った二夜だった。



スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

ありがとう

大好きな浅田選手の事を沢山の言葉に変えて表わして頂いて、ありがとうございます。彼女の笑顔が見られて、幸せなオリンピックでした。

素敵なブログありがとうございます。
私の思いと全く同じです。
本当に感動しました。

感涙です

kaitoさんの深い洞察力と文章表現力には毎回感嘆していますが、光一さん関係以外の記事でこんなに心を動かされるとは・・!
バンクーバーオリンピックの後、言葉で表せないもやもやをkaitoさんの以前のブログで晴らしていただいたことを思い出しました。

100%同意です!
印象に残った選手への感想まで同じ意見で「ああ、やっぱり」と思い、そのことが私には誇らしかったです。(控えた表現をしたつもりなので、ぴんと来ない方にはごめんなさい)

あまりに的確に表現してくださったので、正直コメントに困りましたが、シニアに上がった頃からずっと応援し続けてきた真央ちゃんファンとして一言。
強い逆風にもドロドロした濁流にも流されず、ただひたすら自分を磨き続けてきた真央ちゃんが最後に流した歓喜の涙は、金メダルより美しいダイヤモンドの輝きでした。きっとメダルよりも人々の心に刻まれるでしょう。
その神演技の直後のインタビューで「周りの方たちへ恩返しができた」と言った彼女の人間としての美しさにも心を打たれました。

真央ちゃんのコメント集を見ていたら、こんな言葉が・・。
『がんばれば結果はついてくる。
満足はしていません。
満足してしまったら、そこで終わりになりますから』(2010年9月)

常により高みを目指し続ける気高い人。
そんな人だから大好きなんだなあ、真央ちゃんも光ちゃんも。

kaitoさん、素晴らしい記事をありがとうございました。

kaitoさん、ありがとう(T_T)

kaitoさんのおかげで、頭ではわかっていたことにようやく気持ちが追い付いてきました。正に天の采配。真央ちゃんはスケートの神に守られたのですね。

めったに涙を流さない彼女が見せたバンクーバーでの涙。それから四年、真央ちゃんは誰のせいにすることもなく自分と向き合って努力を重ねていた。こちらが辛くなるほどに。だから必ずメダルという結果で報われると信じていた矢先の衝撃。茫然自失の彼女は涙さえも流せない。それがまた辛くて、私もフリーをリアルタイムで見ることは出来ませんでした。でも、どんなに辛くても見続けるべきだったなと、信じきれなくてゴメンとつくづく思いました。ラウダの奥さんのように。

真央ちゃんしか跳べないTアクセルより、3-3回転の方が基礎点が高いというやるせなさから始まり、フィギュアの採点には不可解なことばかり。でも真央ちゃんは、それならとTアクセルに加えて3-3回転もプログラムに組み込み、世界初の6種類8トリプルの偉業を成す。この感じ、とても座長に似てますよね(*^-^*)本当に二人とも大好き!

バンクーバーの切ない涙のあとに見たのは、どん底を乗り越えた真央ちゃんの、彼女らしいはつらつとした力強い演技の後の歓喜の涙。kaitoさんのおかげで、ようやくその奇跡を純粋に喜ぶことができそうです。kaitoさん、いつもありがとう!

余談ですが、私もリプニツカヤ選手に興味津々です!15歳でシンドラーのリストを表現しようとしたり、不躾ながらも筋の通った発言、尊敬する選手が真央ちゃん、というのも嬉しい!
それと、コストナー選手の凛とした力強いオーラも、金メダルを取ったときの荒川静香さんを連想させて、惹き付けられました。

長々すみませんでした。なんだかうれしくなってしまって…(^-^;
次はSHOCKでしょうか、楽しみにしています(*^-^*)

はじめまして

kaitoさん、胸が震える記事を、
ありがとうございます。

感動しました!

kaitoさんの記事、うなづき通しでした。難度のの高いTアクセルに成功し、苦手なジャンプも避けずにて6種類のTジャンプ全部に挑戦し飛んだ真央ちゃんのフリーは、本当に感動してSPとは違う感動の涙がとまりませんでした。
世界の名スケーターやファンに、愛され尊敬されてるのがわかり嬉しかったですね。
誘われて真央ちゃんと舞ちゃん姉妹のショーや、数回生で見て嵌ってしまったのですが、光一さんの舞台にお誘いして!と急に言われても、なかなかJの今のチケ販売システムだと難しくて^_^;。
だからソロコンやTV露出を要望してます。

No title

kaitoさん、こんばんは。
真央ちゃん、本当に良かった!感動しました。
実は、SPの失敗をリアルタイムで見て、可哀想で可哀想で
フリーは怖くて見れませんでした。
朝一番のTVで、ほぼパーフェクトな演技を見て、
6位で終わったと知り、本当に嬉しかったです。
あの考えられないミスからたった一日で気持ちを立て直したのは
驚異的ですよね。
彼女自身が悔いのない演技で終わる事ができて、心から良かったと思いました。
誰も出来ない事に挑戦し続けた真央ちゃん、真のアスリートですね。
プロフィール

kaito

Author:kaito
日本が誇るべきエンタメ界の宝・堂本光一の表現を楽しみ、仕事人として尊敬し、その人柄を愛するkaitoと申します。
社会人として人間として、目標となる堂本光一の背中を見つめながら自分も成長したいと願う男子のブログです。

オンラインカウンター
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
QRコード
QR